2017/11/01

食品開発展2017 β-グルカン協議会特別プレゼンのご報告

食品開発展2017におきまして、β-グルカン特別プレゼンを行いました。内容は、基調講演とβ-グルカン協議会会員企業によるプレゼンです。

長時間にわたる講演にも関わらず、多くの方々に参加いただき、盛会となりました。皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

日 時 : 2017年10月5日(木) 13:00〜15:20

場 所 : 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1)

        西展示棟3FL会場

来場者数:82名

(1)基調講演

  講師:産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 免疫恒常性研究特別チーム長 辻 典子 先生

  演題:食と自然免疫を介した生体恒常性の制御

  内容紹介:健康産業新聞より抜粋

 腸管免疫学や腸内細菌学が近年のトレンドとなり、多糖センサーを介した腸管免疫の活性化は、乳酸菌の核酸と並んで自然免疫を活性化するとして注目を集めており。これらのメカニズムを中心に説明されました。具体的な内容は下記になります。

 腸管における核酸の認識にはエンドソーム TLR のほかに、細胞質でのRIG-I〜IPS-1を中心とする RLR 経路やcGAS〜STING を中心とする CDR 経路が知られていますが、多糖のシグナルの多くは細胞 表面に発現する TLR と C-タイプレクチン(CLR)を介して伝えられます。パイエル板および脾臓の樹状細胞におけるCLR の発現を調べたところ、腸管において脾臓に匹敵する発現量を維持していたのは デクチン1(dectin-1)で、β1,3-グルカンに含まれています。

 β1,3-グ ルカンは真菌や酵母などの腸内微生物の細胞壁成分で、これまでの研究によって、腸管における樹状細胞上のdectin-1が多糖センサーとしてはたらき、経口摂取したβ-グルカンを認識して、パイエル板 T 細胞のサイトカイン産生を増強していることが示唆されています。また、リンパ節のT 細胞においても IL-10やインターフェロンγなどの抗原特異的な産生増強、全身性の抗原特異的免疫応答においてはIL-17 の産生も増強されたことがわかっています。

 日常的な多糖類の経口摂取あるいは腸内微生物の細胞壁成分などが 全身性の細胞性免疫を増強し、感染・炎症やがん増殖の予防に寄与する可能性が考えられています。小腸の多糖センサーを介して身体の恒常性がより確実に維持される可能性を示しており、健康長寿やQOL改善につながると考えられます。

   

 

(2)β‐グルカン協議会会員企業プレゼン

1.えん麦β-グルカン:最近の研究動向           (株)えんばく生活

 えん麦β−グルカンについて、主にマウス試験を中心に紹介しました。

機能性試験:『えん麦のちから』摂取による血圧上昇の抑制効果について、マウス試験を行い、えん麦ふすま摂取による収縮期血圧の上昇抑制効果、有意差が見られました。

 

2.飲料に適した「大麦β-グルカンシロップ」-臨床試験結果報告- 群栄化学化学工業

群栄化学工業の開発品「大麦β-グルカンシロップ」について、製品説明、臨床試験結果について報告。

製品説明:大麦β‐グルカンを飲料の形で手軽に摂取できる素材としてシロップを開発。本シロップは、大麦を原料とし、大麦と同量のβ‐グルカンを含有する。

利用方法:飲料やゼリー用食品素材(β‐グルカン1g摂取可能)、

機能性表示:UMIN登録した上で、臨床試験を実施。その結果、紅茶飲料でβ‐グルカン1g摂取することにより、セカンドミール効果があることを確認した。

 

3.大麦βグルカンの紹介と商品開発への活用ーみたけ食品工業株式会社

大麦βグルカンの基本情報とみたけ食品工業鰍フ開発品「βグルカンリッチ大麦粉」、「βグルカン濃縮大麦粉」について、説明を行った。製品説明:βグルカンリッチ大麦粉は北米産のβグルカン高含有の大麦品種を用いて、小麦粉の代わりとしてパンや麺、焼き菓子として使用できる製品である(βグルカン8%含有)。

さらにβグルカン濃縮大麦粉は弊社独自の粉砕技術でβグルカンを濃縮した製品である(βグルカン20%含有)。

また、新規開発品である「もち麦パフ」はβグルカンを様々な料理にふりかけて、手軽に摂取できる製品となっている。

 

4.ADEKAのβグルカン

ADEKAからは大麦βグルカンと黒酵母βグルカンについて紹介した。

大麦βグルカンは機能性表示対応素材であり、またこの夏、新しく溶解性を改善した濃度30%の製品「大麦ベータグルカン30SP」を上市した。

黒酵母βグルカンは無色透明な液体のβグルカンで、ドリンク、サプリメントや化粧品用途に使用されている。

 

5..水熱処理された黒酵母βグルカンの物性について 伊藤忠製糖

一般的な黒酵母のβグルカンは菌体外に分泌されますが、非常に高い粘性をもっているため、これまで応用用途が限られていました。

クルルのβグルは水熱処理を施すことにより、粘性を低下させ、高度精製を可能にし、ハンドリング良好で幅広い製品に応用可能な製品となっております。

【特長】・黒酵母(Aureobasidium pullulans)由来 β1.3/1.6グルカン

    ・高い水溶性で(10%程度まで溶解可能)、低粘度、透明な水溶液が調整可能

    ・高純度、βグルカン含量90%以上

 

 6.鹿角霊芝「王角」の健康効果 (株)坂本バイオ

坂本バイオが製造販売する鹿角霊芝「王角(登録商標)」について、その特長及び 健康効果に関する基礎研究について説明。(特長)坂本バイオが供給する鹿角霊芝は秋田県産の原材料100%で秋田県内にて栽培されたもの。品質が安定して高く、βグルカン含有量は約50%(乾燥原体に対し規格保証値40%以上)。

(健康効果の研究)鹿角霊芝「王角」について、抗腫瘍、免疫賦活、血糖値上昇抑制、及び血圧抑制に関し、学術誌に掲載されたそれぞれの研究例を紹介。

(製品)健康食品用途の粉末原料「200メッシュ」及び「抽出処理末」の2種類を販売中

 

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