2019/09/25

「β-グルカン協議会設立10周年記念講演会」のご報告

 β‐グルカン協議会設立10周年を記念致しまして、穀物、酵母、キノコβ-グルカン、および腸内フローラに関する専門の先生による講演、総合討論、懇親会を実施いたしましたので、報告いたします。

 

                               -記-

 

日 時:2019年8月27日13時〜17時30分 (受付開始12時〜)

場 所:東京大学農学部弥生講堂一条ホール

    〒113-0032 東京都文京区弥生1丁目1−1 東京大学農学部内

主 催:β-グルカン協議会

後 援:農林水産省、日本農芸化学会、日本食物繊維学会、日本ヘルスケア学会、日本チェーンドラッグストア協会

講演会参加者:170名 

 

ご挨拶 

 大野尚仁会長(東京薬科大学教授)、および後援いただきました 農林水産省・食料産業局・食品製造課 課長 東野昭浩様より、ご挨拶を賜りました。引き続いて、β‐グルカン協議会発足メンバーの石田洋一様より10年間の歩みについて紹介がありました。

 

講演内容 

@穀類および藻類のβ-グルカンの機能性 青江誠一郎(大妻女子大学 家政学部  教授)

 大麦の水溶性β−グルカンの構造や含有量に加えて、健康機能については、1)血清コレステロール値正常化作用のヒト試験データと2つの作用メカニズムについて、2)食後の血糖値上昇抑制作用のヒト試験データと4つの作用メカニズムについて、3)食後血糖値のセカンドミール効果のメカニズムについて、4)内臓脂肪蓄積抑制作用について説明されました。さらに、β‐グルカンの低分子化による機能性の変化に関する最新の知見についても紹介がありました。
 ユーグレナの不溶性β−グルカン(パラミロン)については、1)糖代謝改善、血清LDLコレステロール濃度低下効果、2) PPARα を介する糖質・脂質代謝改善効果について説明がありました。

 

A キノコ含有食物繊維の生理機能 江口文陽(東京農業大学 地域環境科学部  教授)

 実は、シイタケといっても178種もあり、その違いについて一般にほとんど理解されていないことや、各種キノコの健康機能については、1)ヒメマツタケの免疫調節機能、高血圧抑制機能、メタボ改善について、2)スギヒラタケの中枢組織や筋組織への影響について、3)シロアジシメジに含まれるD-アミノ酸の機能について、4)トンビマイタケの抗炎症機能、皮膚疾患改善機能に関する説明がありました。

 

B 真菌β-グルカンの構造と機能 大野尚仁(東京薬科大学 教授)

 免疫の分類、免疫をつかさどる分子・細胞・臓器、免疫系調節の仕組み(免疫細胞間、神経内分泌、常在菌叢、栄養・食事)など、免疫に関する基本的な事項に加えて、自然免疫のキーであるβ‐グルカン受容体であるDectin-1についてその構造と活性を中心に、さらに獲得免疫のキーである抗BG抗体について詳しい説明がありました。

 

C 食物繊維2.0:腸内環境栄養学の必要性 福田真嗣(慶應義塾大学  先端生命科学研究所 特任教授)

 腸内細菌叢がもたらす生体恒常性と疾患に関し、例えば、肥満、糖尿病、肝臓がん、動脈硬化の代謝疾患、さらには多発性硬化症、自閉症、パーキンソン病等脳・中枢神経疾患を例に説明があり、さらにこれらがTMAO、DCA、SCFA等腸内細菌由来代謝産物が大腸から全身へ運ばれることについても言及されました。さらに腸内環境はいくつかのタイプにわかれ、大麦はプレボテラが多いこと、また免疫チェックポイント阻害薬の効果や便移植の治療効果についての紹介がありました。

 

 

パネルディスカッション 

 西沢邦浩様(日経BP総研 客員研究員)の司会により、4人の講演者をパネラーとするパネルディスカッションが実施されました。各々先生方から、自分の専門とは異なるβ‐グルカンについての意見が出されました。

 

企業展示

 株式会社ADEKA、伊藤忠製糖株式会社、カルビー株式会社、株式会社坂本バイオ、群栄化学工業株式会社、みたけ食品工業株式会社6社が展示し、講演前および休憩時間中に各ブースにおいて各社の商品説明がなされました。

 

懇親会

 日本チェーンドラッグストア協会の事務総長でいらっしゃいます今西信幸様からのご挨拶があり、講演された先生方を含めて総勢86名の方が出席され、ここでも懇親会出席者を交えた活発な議論がなされておりました。

活動一覧に戻る