2016/07/24

7.安全性

グルカンは、伝承的に食されており、その存在や構造、そして医薬品となった経緯を含めて、喫食経験がある安全な食品素材と言えるでしょう。

その代表であるβ-1,3-結合のみを有するβグルカンであるカードランは、産業面でも国内需要が300トン以上もある食品添加物(増粘多糖)として利用され、1996年にはFDAにおいても食品添加物に承認されています。食されたカードランのうち、80%以上が24時間以内に呼気や便から排出されている一方、高分岐のβグルカンにおいては、血中には吸収されませんでした。2005年のLehneらの報告では、酵母のβグルカンを用いた安全性試験では、18名の健常人に食させたが、生化学データに異常値は認められませんでした。国内でも安全性試験が実施されたが、単回経口投与毒性試験ならびに反復経口投与毒性試験においても異常は認めらませんでした。

最近では黒酵母由来の可溶性分岐型β-1,3-1,6-グルカンを含む既存食品添加物を用いた安全性試験でも、90日の反復経口投与毒性試験で異常は認められなかったと報告されています。このようにβグルカンは喫食経験に加えて、動物を用いた試験や食経験からその安全性が担保されている素材であります。化粧品素材としても古くから知られている成分です。

一般に安全性試験は、試験法としてOECDの化学品検査指針No.423に則って動物試験として行われることが多いです。ここでOECDとは、Organization for Economic Cooperation and Development(経済協力開発機構)を意味し、OECD指針は日本も含む加盟先進国21カ国の担当官が会議の上決定した化学品の標準的毒性試験方法に対する指針を意味します。食品に関しては、変異原性試験(エームス試験)、急性毒性試験(LD50)、亜急性毒性試験(28日あるいは90日の反復毒性試験)が行われることが多く、最終的にはヒトでの臨床試験に伴う安全性試験などが要望されています。また、皮膚への安全性試験としては、皮膚・眼粘膜に対する刺激試験、アレルギー反応を確認するための感作性試験、ヒトパッチ試験などが知られています。

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